「陸の王者誕生のいきさつ」
1992年11月 「三田評論」より抜粋
秋も深まり朝晩はめっきり冷え込むようになった。愛酒家には、若山牧水の「白玉の歯にしみとほる秋の世の酒はしずかに飲むべかりけれ」の歌が浮かぶ季節の到来である。
確かにひとりで静かに飲む酒もよいが、気の合った昔の仲間と学生時代の思い出やお互いの近況を語り合いながら飲む酒もまた楽しい、という塾員達にぴったりの純米醸造酒が生まれた。
名づけて「陸の王者」、醸造元は栃木県今市市の鞄n邊佐平商店、発売元は東京都足立区の且R二商店である。この「陸の王者」がうまれたいきさつはこうである。創業が天保13年(1842)年という老舗の醸造家渡邊佐平商店の若主人渡邊護君と、手広く酒類卸業を営む山二商店の若主人高山芳雄君は、共に昭和37年経済学部卒業の塾員で、ゼミも同じく平井新ゼミであった。
2年前の平井ゼミOB会の折、日本酒の販売戦略について語り合って、これからは漠然と広く販売するのではなく、ターゲットをしぼった販売方法をとるべきだと意見が一致し、当時「都の西北」のネーミングで売り出した日本酒があったことから、「陸の王者」を思いついたという。商標登録の許可が今年6月におり、10月1日(数年前から清酒業界では酒の日としている。)を期して発売されたが、今年は義塾体育会百年であり、渡邊佐平商店創業百五十年でもあり、「陸の王者」は所縁深い年に生まれたことになる。なお、渡邊君の大伯父のあたる渡邊萬治郎さんは、義塾野球部草創期の明治30年代前半に捕手として活躍された塾員で、義塾が陸の王者となる礎を築いた人ともいえ、所縁は更に深いものがある。
先月25日、日吉で行われた連合三田会の模擬店でもこの酒は販売された。大方の評判は、くせが無くすっきりとした味わいということで、好評を博したようである。720ミリリットル瓶1250円と価格も手頃だ。三田会など塾員の会合で、「陸の王者」で気炎をあげ「若き血」を歌うのも一興かも知れない。醸造元、発売元、それぞれの電話番号を紹介しておく。
渡邊佐平商店(醸造元)
山二商店(発売元):03−3881−3367 |